GPS, A-GPS, DGPS, RTK-GPS・・・・

最近GPS関係のニュースが目につきます。
そこで、GPS, A-GPS,DGPS, RTK-GPS,スタティックGPSや各国のGPS、次世代GPSどととも、プチ整理してみました。

GPS
GPSは、アメリカが運営する、位置を測定する全地球測位システムです。GPS衛星から電波により、緯度、経度、高度が計測可能です。技術規格は、SMC(Space and Missile Systems Center) という 米空軍宇宙軍団の下部組織が作成しています。

そのGPS衛星の数は、本日現在GPS衛星の数は31基です。このうち24基は、baseline satellites として24のスロットに配置されています。AからFまでの6面に4つずつで、24スロットです。
たくさんのGPS衛星が地球を周回する様子は、海上保安庁のページで見ることができます。

最新のGPS衛星の数と配置は、米沿岸警備隊のサイト海上保安庁のサイトで公表されています。

GPSの精度
GPSの精度は公称値は95%の確度で7.8m以内です。
ただし、GPSにはSPS(Standard Positioning Service)とPPS(Precise Positioning Service)の2種類があります。公称値7.8mは、SPSの精度です。
SPSのみが民間に解放されていて、PPSは未だ軍専用(暗号化されているので民間で使えない)状態です。PPSとSPSに関する軍のポリシーなどはあるもののPPSは情報量小です。

なお、GPSには、軍事的理由などにより米国が故意にシステム誤差を増大させることができるSA(Selective Availability)がかつてありました。しかし、SAは、2000年5月2日の米大統領声明により廃止(SAを常時ゼロ固定)になりました(大統領声明により復活するかもしれません)。
最大の誤差要因であるSAが廃止され、SA廃止以前の100mから大幅に向上しました。
ただし、P/Yコードを暗号化してPPSの一般利用を排除しているのは相変わらずです。

実際の精度は、海上保安庁の調査結果によれば、10~20m程度で、地域、季節、時刻により変動するそうです。
補足できる衛星の数により精度が変わるのはもちろんですが、最良の状態でも電離層の影響などで精度は一定ではありません。

精度は、捕捉できるGPS衛星の数が少なければ悪化します。湾岸戦争の時は衛星が中東に集められ、中東での測位が容易かつ高精度になる一方、他の地域での測位誤差が大きかったというヨタ話もあります。
国土地理院の「作業規定の準則(測量法第34条に基づく告示)」に付録1 では、10km以上の距離を1級の精度で測る場合の測定時間は、4 個以上の衛星で3 時間 以上となっています。衛星の数は重要な要素です。

測量用のRTK-GPSなどの高精度GPS(後述)などもありますから、衛星GPS測位の精度は、測位方式や捕捉できるGPSの数などに依存し、1mm~100m程度の範囲ということができます。
携帯(A-GPS)の場合は、概ね数m~数十mということになります。

精度の単位
GPSレシーバ等の仕様を見ると、精度をDRMS:distance root mean square)とか2DRMSという単位で標記している場合があります。
DRMSは、測位で割り出した位置の平均値と実際の位置のズレの長さ(距離)の二乗を加重平均した値の平方根(RMS)です。、この2倍が2DRMSで す。
精度:5m(2DRMS)と書かれていればは 百回測位した場合、測定値の95%が半径5mの円内に収まるという意味です。5%は5mの円をはみ出し ますので、最大5mという意味ではありません。
各種GPS測位方式
GPSの精度測位では、精度はGPS測位方式にも大きく左右されます。携帯電話で使うGPS測位は、ほとんどがA-GPSですが、GPS測位には様々な方式があります。主なものを表にしてみます。
方式
概要
長短
精度(最良)
要途
サービス提供者
自立型GPS 衛星からデータだけで測位

+アシスト不要
-測定に数十秒必要

10~20m
地域,季節、時刻により変動
カーナビ
PC用GPS受信機
A-GPS 衛星からの時刻信号と、モバイル網からの補正データ等で測位

+測定が早い
-アシスト情報を得るために通信が必要

数m~数十m

携帯電話
DGPS 基準局でのGPS測位により衛星毎の誤差成分を検出し補正情報として送信。 この補正情報で補正し、測位  
海保のDGPS説明

+精度向上
-地上基準局が必要
-補正データ受信手段が必要


数cm~1m
提供される補正情報に依存
~10cm:  StarFire
~1m:
 海保
~20m:
 沿岸警備隊

StarFire
海上保安庁  
米Coast Guard

RTK-GPS
Real Time Kinematic GPS
基準点との相対測位 +精度向上
-基準点が必要
1cm

測量
日本GPSデータサービス VRS方式
ジェノバ VRS方式
三菱電機 FKP方式

ネットワーク型RTK-GPS

VRS方式
FKP方式


共用基準点からのデータによる相対測位

+精度向上
+自ら基準点を設けなくても測量可
-センターとの通信手段が必要
(FKPなら受信のみ)
(VRSなら送受信)

1cm

スタティック法 アンテナが静止した状態で衛星から電波を受信し測位する方法の総称

+精度向上
-移動体に適用不可
-測定時間が長い

1mm
測量

2周波利用

L1とL2の二波を使用して測位

+L2は波長が長いので電離層の影響が小さく長距離基線測量でも精度劣化が少ない
-P(Y)コード受信機は米特許のため高価

1mm 測量
10kmを超える距離を1級の精度で測量するのは2周波利用と定められている
携帯やカーナビなど一般のGPSは、GPSとA-GPSです。
船舶などにはDGPSが使われ、測量ではRTK-GPSが使われます。
測量業界では、国土地理院の「作業規定の準則(測量法第34条に基づく告示)」で規定されるGPSの方式は、「スタティック法、キネマティック法、RTK-GPS法、ネットワークRTK-GPS法」と決められています。したがって、携帯電話のA-GPSを使った基準点測量は、測量法を満たしていません。
さらに現地測量は、測距儀(TS)または、RTK-GPS法若しくはネットワーク型RTK-GPS法を用いることと規定されいます。

測量では、GPSやA-GPSの出番はありません。
ただし、ネットワーク型RTK-GPS測量に際しては、携帯電話のデータ通信を利用してサービス会社からデータを取得する場合があります(業界大手のジェノバは、センターとの通信用にKDDIの携帯の通信モジュール内蔵した日立製の装置 を使っています。業界のもう一つの大手、日本GPSデータサービスは、携帯電話を使っています
GPS測量にもモバイル網が利用されていますが、携帯のGPS機能を使っているわけではありません。

カーナビの精度を向上させるために、JFN各局等のFM多重放送っで位置補正情報を送り、DGPSを実施していましたが、2008年3月に補正情報 送信を停止しています(DGPS対応カーナビであったとしても今は普通のGPSで測位しています。サービスが終了した理由は、S A(Selective Availability)による誤差増大の心配が無くなり、補正情報無しでも十分な精度が得られるからということだったようです)。補正情報を得る手段も様々です。

このように業界が違えばGPSも違った方式になり、精度に関する常識も異なるし、携帯電話の利用方法も異なることになります。

なお、上記の表に記載した精度は、GPS衛星が3~5基捕捉できる場合の最良状態での精度です。
GPS衛星からの電波
このGPSからは、何種類もの電波が出ています。この電波のうち、L2, L3, L5が測位用です。L3,L3は用途が核爆発探知用等であり測位には無関係です。この3波に、異なるコードに載せた複数の種類の航法メッセージが送信され ます。将来計画も含めて以下の8種類がありますが、携帯やナビで使われているのはSPS(C/Aコードを使ってL1で送信されているメッセージ)です。
GPS衛星からの電波も、測量では、L1の波長(19cm:1,575.42MHz)とL2の波長(24cm:1,227.60MHz)の併用する場合があるのに対して、A-GPSではL1だけを使います。

電波
サービス名
使用コード
要途
使用開始
 L1 1.5842GHz SPS C/A 民間 1990~
PPS P(Y) 1990~
  M 2005~
  L1C 一般 2013~
L2 1.2276GHz PPS P(Y) 軍・民間 1990~
  L2C 民間 2005~
  M 2005~
L5 1.17645GHz   I/Q 民間 2009~


次世代GPS
L5は次世代のGPS用の電波です。L1、L2でもL1C、L2C、L1M、L2Mなどの現在とは異なる方式のGPSが順次始まります。
衛星配置表にある衛星の型式が、IIR-M型の衛星は,L2Cを送信しており、今年IIF型が打ち上げられるとL5が送信されようになります。4年後にIIIA型が上がればL1Cの送信も始まります。
各国のGPS
全地球測位システムは、米国以外でも構築中です。現在順次衛星を打上げシステム構築中のシステムには、以下の様なシステムがあります。
  • EU:   GALILEO(3軌道30衛星)
  • ロシア:  GLONASS(3軌道24衛星)
  • 中国:  北斗

日本(JAXA)も、準天頂衛星による測位システムを作る計画がありますが、これは全地球ではなく日本を対象とした地域測位システムです。
GPS測位には時間がかかる
GPS測位は、A-GPSでも数秒かかります。アシストが無いと最低でも30秒はかかります。
測位に時間がかかる理由は、データ送信速度です。

GPS衛星は、衛星の位置、送信時刻、補正情報を送信しています。正確な時刻情報を送信するため、GPS衛星にはルビジウム時計ないしセシウム時計が搭載されています(セシウム時計のほうが高精度)。
携帯電話などの機器は、この情報を受信して測位を行いますが、この情報送信レートは、50bpsという超低レートです。
50bpsというと人間がキーボードでタイプするような速度です。衛星の位置と時間をタイプすることを想像してみてください。どのくらい時間がかかるか想像できるかと思います。

GPS衛星が送信するデータは、5つのサブフレームから構成されるフレームが基本単位で、このフレームをページと呼びます。各ページの4番目と5番目のサブフレームの内容は、25ページにまたがって記述されますので、25ページでワンセットです。このメッセージ構造は、ICD-GPS-200 というSMC:Space and Missile Systems Center  という 米空軍宇宙軍団の下部組織が作成した文書や、SPSサービスを規定した文書で規定されています。

この送信にどれだけ時間がかかるかというと、
サブフレーム1つ送信するのに6秒 300bit÷50bps=6秒
フレーム1つに30秒 5サブフレーム×6秒=30秒
25フレームにまたがって送信されるサブフレーム#4と#5を全て受信を終えるまで12分30秒
となります。
時刻情報以外は網側からのアシストが得られるA-GPSでは、第一サブフレーム時刻情報を使うので、6秒で時刻情報の受信が終わります。しかし、時刻情報は30秒に1回しか送られてこないので、受信待ち時間を考えるともっとかかることになります。
測位のために、サブフレーム#1にを受信する時間(6秒)が必要で、25フレームにまたがって送信されるサブフレーム#4と#5を全て受信しようとすると12.5分が必要ということになります。

カーナビでのGPS測位は、アシストなしだと、コールドスタートで1分弱、ホットスタートでも10秒弱かかるようです。最新の高級カーナビでもGPSの仕様上の限界は破れません。(このようにGPSに数十mの誤差があるうえ、TTFF(Time To First Fix)に何十秒もかかるのでは、とカーナビ用としては不安ですが、カーナビではDR(Dead Reckoning)やマップマッチングをGPSと併用し位置の高精度化を図っています。

IOデータのGPSレシーバのように、バックアップメモリに情報を保存しておき、GPS衛星から全てのデータを受信しなくても測位出来るようにして、TIFFを短縮する製品もあります。
エフェメリスも含めて航法データが更新されると精度が劣化しますが,更新後の航法データを予測するソフトなでにより,更新後も,高精度を維持して測位できると主張する製品もあります。予測ができれば保存した航法データが有効に使える時間を長くすることが出来ます。

国土地理院の「作業規定の準則(測量法第34条に基づく告示)」では、「観測距離が10kmを超える場合は、節点を設けるか、1級GPS測量機により120分以上の観測を行うものとする」となっています。

高精度の測定には長時間かかります。
MCPC1級
  MCPC検定1級対応:モバイルシステム技術テキスト エキスパート編(改訂版) には、測位方式としてGPSの測位方式、Cell ID Based方式、OTDOA方式の3種類が記載されています。GPS測位方式は、NA-GPSをUE-BasedとUE-Assistedの2方式に分けて説明ししています。
GPS測位方式の基礎とともに、これらの方式の概要把握が必要です。
 MCPC1級テキストでは、GPSの数は、24基となっています。現在31基が運用されていますが、試験に出るのはテキスト記載されている24という数のほうです。
 なおMCPCではA-GPSをNA-GPSと標記しています。RTK-GPSやPPSなど携帯で使われていない方式やサービスは試験範囲外です。










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