視力低下や視野狭窄があり、色の識別もほとんどできず、キーボードも使えない80歳の男性が、パソコンを使ってTwitterに投稿したりしているのを見ました。
機能を削減して操作を簡単にした高齢者用携帯電話は、高齢者が望んでいる携帯電話の姿ではないように思えました。
高齢者は、様々は機能を不要と思っているのではなく、使いこなせないので諦めているいるのだと強く感じました。
高齢者にも使えるようなユーザーインタフェースを用意すれば、彼らはネットを使います。
機能を削ってシンプルにするのは、高齢者の切り捨てではないでしょうか。
高齢者がPCを使う上での参考に、どういう状況で使っているのか書いておきます。
入力:
タッチスクリーン、キーボードは上下左右の矢印キーとEnterキーくらいしか使いません。マウスは、カーソルを視認できないので使いません。
表示:
22インチの大画面をSVGAの解像度に落として、表示を拡大しています。背景などは全て消してコントラストを高くした表示にしてつかっています。
PC:HPのタッチスマート IQ540をつかっています。
- 電源スイッチ、スピーカボリュームなどが全てスクリーン周りに配置されているので、迷わない。
- 大画面タッチスクリーンである
- キーボード、マウスがコードレス、マイク、カメラなども本体内蔵で電源ケーブル以外にケーブルが不要であり、わかりやすい。
OS:
Vista Home Premium
注意事項も書いておきます。
画面のフォント:フォントの拡大はしていない。フォントを200%とかにすると拡大はされるものの、画面がスクリーンをはみ出してしまう。Windowsのメッセージを含も含め、リサイズできないずスクロールもできないポップアップ表示は多く、「OK」や「キャンセル」が押せなくなり使えない。
また、文字だけ大きくなっても、スクロールバー、アイコンなどは大きくならない。
そのため、画面の解像度をSVGAに下げて拡大している。
音声認識: 音声認識は停止状態から勝手に聞き取りを開始してしまうことがあるので、自動起動にせず停止している。
おそらく周囲の音が「聞き取りを開始」という音声コマンドだと認識できる状況になることが、何時間もつけっぱなしにしておくと、起こるのだろうと思います。
また使用中にテレビの音や、周囲での会話などで、見たこともない画面が出てくることもあるそうです。おそらく、環境ノイズを音声コマンドと誤認して普段使わないアプリが起動されているのだろうと思います。
そんなわけで、もっぱら手書き入力。
ハイコントラスト:
Windowsの設定を視覚障害者用の「ハイコントラスト」にはしていない。「ハイコントラスト」にすると、TouchSmartソフトウェアを始めいくつかのアプリが起動しなくなるらしい。
そのため、画面の色とフォントは、Windowsのテーマ設定で高コントラストに設定している。
検索エンジン:検索エンジンはYahoo。Googleはたくさん出てきすぎるので、数の少ないYahooがでデフォルト。Yahooでも望み情報がなかなか出てこないので、ブラウザはお気に入りからの巡回が主な用途となっており、検索はあまり使っていない。
漢字入力:漢字に昔の略字を使用するが正しく認識されない。困難の難、苦闘の闘などは、昔の略字(PC上にフォントなし)を使うので認識されない。誤認識の原因が略字であることに気づくまで、だいぶ手間取った。
警告メッセージ:
Webを巡回しているとセキュリティの関係の警告や確認メッセージが出てくるが、ポップアップするメッセージが小さい字で、こまごま書いてあるので、読めない。読めたとしても、内容が理解不能。
とりあえず、「OK」や「許可する」あるいは右上の「×」を押して画面を消している。
Twitter:「いま何してる?」の入力欄が、色がうすくて枠も小さく目立たないので、いつも白くて何もない所が入力欄だと認識している。
とまあ、なんとか使える状態のようですが、Windowsも、Webコンテンツも高齢者目線で作られていないことが良くわかりました。
視力障害者補助のハイコントラストや、タッチスクリーン、音声認識なども、それらをメインのユーザインタフェースとして使うと問題だらけです。おまけで付いているだけの機能だということが良くわかります。
特にひどいのは、各種メッセージです。
セキュリティの確認、Windowsアップデートの確認、HP Updateの確認、Adobeなどのアプリのアップデートの確認など、実に様々なポップアップが出てきます。
私たちは、何気なく処理しているポップアップですが、何が書いてあるのかを認識することに、とても苦労している上に時間をとられています。
高齢者だけでなく、子供も同じ困難に直面しているのだろうと思います。
PCやセキュリティを良く理解しているエンジニアが、自分たちの常識を前提として、自分たちの言葉で書かれているこれらのメッセージは、子供や高齢者には、良くて操作の邪魔、悪くすると操作を諦めさせるための意地悪でしかありません。
操作手順をメモしておいて作業をしている高齢者は、ある日突然、今まで見たこともなく、手順にも書かれていないポップアップに直面することになります。
苦労して、警告メッセージを読んでも何のことか全く意味不明。セキュリティ関連のメッセージの大半は、おそらく一般の人にも意味不明ではないでしょうか。
お客様視点とか、ユーザフレンドリーとか言っていますが、高齢者や子供は、お客様やユーザに含まれていないようです。
高齢者社会を迎え、海外市場に活路を見出すか、国内の高齢者市場に取り組むか、M2Mなど人間以外の市場を開拓するか、法人需要の再喚起に取り組むか、選択肢はいろいろだろうとおもいます。