ネットでの匿名性への対処

警察庁が、匿名化ツール「Tor」のブロックをISP各社に要請するそうです(ITPro毎日jp)

匿名性を利用したネット犯罪を防ぐことが目的のようです。

警視庁は、「データ通信カードの販売時においても、携帯電話と同程度の公的書類による本人確認が少なくとも必要である」とも言っています(総合セキュリティ対策会議 第3回)

中国では、ネットユーザーの「実名登録制」が義務化されました。

日本が、中国同様のネットでの匿名性排除を目指すのではないと思いますが、警視庁での議論を調べてみました。

Torの規制

Tor等の匿名化システムは、対立する2つの観点が課題だとも言っています。

  • 安易で過度なネット監視や検閲を拒否する観点、
  • ネットで匿名化システムを乱用した犯罪への対抗

バランス感覚はあるようです。

具体策としては、

「TorのノードリストをDB化して、DNSクエリ等の応用でTorノードか否かを判別する仕組みを作ってもよいかなと思います」

「ISPに対して、匿名化システムを利用するアクセスのログの保存要請をしてみることも考えられる」

と、「サイバー犯罪捜査の課題と対策」部会(第3回)で言っています。

ノードリストの更新、Tor利用を特定する方法など課題は多く、実現性は疑問です。

匿名サイトの自主管理強化

警視庁の総合セキュリティ対策会議では、匿名サイトの自主的管理強化の促進も議論しています
匿名サイトの定義は、
「サイトに載っている状態で投稿者が誰かわからないというのを指して匿名サイトとここでは呼んでおります。」
総合セキュリティ対策会議(第1回)で言っています。
実名サイト以外はすべて自主的管理規制の強化の対象ということになります。
法律的な定義ではないとも言っていますので、対象が恣意的に拡大する可能性をはらんでいます。

本人確認の強化

「利用者の本人確認が確実に行われるための方策についても検討を進めることとしている。」
警察白書の特集で言及しています。

第3節 今後の課題、(2)巧妙化するサイバー犯罪への対応、④効果的な捜査手法の確立
エ インターネット利用時の匿名性等への対応(61ページ)
データ通信カードの販売時の本人確認の強化(

総合セキュリティ対策会議 第3回)は、この議論の流れの中で浮上しています。

ネットカフェの本人確認についても、議論しています。

しかし、うまくいっていないようです。

日本複合カフェ協会のガイドラインを改定し、会員制の導入を義務付けたものの、お客様は、本人確認を嫌うので、これだとお客様が来ないというようなこともあり、カフェ協会から脱退するカフェが増えているそうです。

海外の連携

日本のISPが規制しても、VPNソフトで海外に飛んで、そこからアクセスすることもできます。

無料でVPNを張れるソフトも多数あります。

このため、中国はVPN接続も禁止(AFPBB News)しているようですが、日本はそこまでは踏み込んでいません。

平成23年度総合セキュリティ対策会議報告書では、
「国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)、刑事共助条約、サイバー犯罪に関する24 時間コンタクトポイント等の海外の捜査機関等との国際捜査協力体制の枠組みを活用するなど、既存の取組を推進していくことで、改善される可能性がある。」
とするにとどまっています。

Google Playには、Tor to Android もあります。
Apple Storeには、Onion Browser などがあります。

Torは、抑圧的な体制下にある活動家や内部告発者など、ネット上で匿名で行動したい人々にとっては貴重なツールだという側面もあり、GooleやAppleがこれらを削除するかは微妙です。

Google Play や Apple Storeをブロックしてしまうことはないでしょうし、
App Storeとの通信は、HTTPSで暗号化されているので、これらのソフトのダウンロードが規制可能だとは思えません。

警察は規模が不足

「今後、3つの能力に関する規模が求められると考えています。しかし、その規模が不足しているのではないかと思います。」と「サイバー犯罪捜査の課題と対策」部会(第3回)」で指摘されています。

規模が不足しているの能力は以下の3つです。

  1. フォレンジックに関する能力
  2. 不正プログラムの解析に関する能力
  3. 暗号やパスワードの解読に関する能力

一般的な犯罪についても、サイバー空間上を捜査しなければならないことが増加してくるはずですので、この状況に対する用意が必要ではないか。と指摘されている状況です。

この状況では、中国なみの規制強化は無理かと思われます。

日本に、中国のようなグレートファアウォールが出現する恐れはなさそうです。


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