VoLTEはQoSとHD Voiceで高品質確保

VoLTEが、LineやSkypeなどのインターネット電話に対する差別化をする鍵となる技術要素の中で、基盤となるのはQoSです。

LineやSkypeもVoLTEと同じIP網を使った音声通話(VoIP:Voice over IP)サービスですが、通信事業者が展開するVoLTEのQoSは追随できません。

VoLTEが開始されると、無料のインターネット電話、安定していて高品質なVoLTEは通信事業者はが提供という住み分けになりそうです。

VoLTEは低遅延で高音質

下記記は3GPPのQoSレベルです。

9レベルのQCIのうち6つまでが主に通信事業者提供のサービス用となっています。

通信事業者以外のサービスが利用することを想定しているのは3つ(QCI=8,9,7)だけ。

3つの一般用QCI=8,9,7は、3つとも、許容遅延300msecです。

したがって、LTE網でLineやSkypeを使う場合は遅延300msecの一般QCIを使うことになります。

一方、VoLTE は、遅延100msecのQCI=1, 5を使います。

VoLTEは低遅延なため、遅延300msecの一般QCIを使うLINE や Skype などより音声品質で優位になりそうです。

LTEのQoS  3GPP  TS 23.203
QCI 保障 優先度 遅延
許容値
パケロス
エラー率
適用サービス例
1




G
B
R
2 100 ms 1/100
音声通話
(主に通信事業者提供サービス用)
2 4 150 ms 1/1000 TV電話(Live Streaming)
(主に通信事業者提供サービス用)
3 3 50 ms 1/1000 リアルタイムなゲーム
(主に通信事業者提供サービス用)
4 5 300 ms 1/100万
動画(Buffered Streaming)
(主に通信事業者提供サービス用)
5




1 100 ms 1/100万 制御信号(SIP等)
(主に通信事業者提供サービス用)
6 6 300 ms 1/100万 動画(Buffered Streaming)
TCPを利用するシステム
(www, e-mail, チャット,ftp, p2pファイル共有等)
MPS提供する場合に利用
7 7 100 ms 1/1000 音声,動画(Live Streaming)
インタラクティブなゲーム
(主に通信事業者提供サービス用)
8 8 300 ms 1/100万 プレミアムコンテンツ用
9 9 デフォルト
(特に規程のない一般サービス)

QCI(QoS Class Identifier)、GBR(Guaranteed Bit Rate)

VoLTEは帯域保障で安定性確保

LTE網でLineやSkypeが利用できる一般用クラスは、帯域が保障されません。

VoLTEはQCI=1,5の帯域確保型QoSを利用します。

帯域保障無しの一般IP通信扱いのLINE等とはちがって、輻輳しても帯域保障されるVoLTEは混雑に左右されてない安定した品質になりそうです。

VoLTEトラフィックは最優先送受信

VoLTE が使うQCI=1, 5は、優先度も高く、優先度=1, 2と最優先です。

VoLTEトラフィックは、輻輳時でも最優先で送受信されるので、パケロスやジッターが抑制され、品質が安定します。

一方、低位なQoSを使うサービスでは、IP網が輻輳しているときに、品質が劣化します。

最優先のVoLTEは、音質面で有利になります

VoLTEは別ルートで品質確保

VoLTEは、一般のインターネット通信とは別のAPN:Access Point Nameにアクセスして、通信経路を確立します。

このため、VoLTEの通信経路は、他とは別ルートで確保することが可能です。

別ルートとすることにより、帯域確保や低遅延ルート選択などの高品質確保が容易になります。

QoS制御はEnd-End行う

QoS制御は、無線区間(端末と基地局の間の無線ネットワーク)と、コアネットワーク側の両方で行われます。

VoLTEは高音質CODEC採用

VoLTEのCODEは、G.722.2 AMR-WB(Adaptive Multi-Rate - Wideband Speech Codec )も使います。

音声周波数レンジ拡大

3Gで使われているCODEC AWR-NBの音声サンプリングレートは、8kHzで、音声周波数レンジは300Hz~3.4kHzです。

AMR-WBを採用するHD Voiceでは、サンプリングレートが16KHzになり、音声周波数レンジも50Hz~7kHz に拡大されます。

3GでもHD Voice

AMR-WB(HD Voice) はLTE専用ではありません。

海外では、約50社が3G網でもHD Voiceによる高音質音声通話を提供中です。

iPhone 5もHD Voiceをサポートしており、米T-MobileはiPhone5でHD Voiceを提供中です。

HD Voice 対応端末には、iPhone 、Galaxy S 3、S 4、Galaxy Note II、HTC One S、Nokia Astound、Nokia Lumia 521、Blackberry Q10などがあります。

VoLTEのHD Voice(AMR-WB)のビットレートは2倍

AMR-NBは最大12.20Kbpsですが、VoLTEで使うAMR-WBでは最大23.85Kbpsが必要になります。

LineやSkypeも高ビットレートが必要な高音質CODECを採用することはできます。

7KHzまでのWideband CODECより高音質なSuper WideやFullなどのCODECもありますが、LineyやSkypeは非優先なので、ビットレートを上げるとパケロス増などの音質劣化を引き起こすリスクが高まります。

音声周波数レンジとCODEC名

VoLTEは、優先度が高いので高音質CODECを採用して通信量が増えても、、QoS制御で遅延やパケロス、ジッターなどの増加が抑制されているので、安定した通信ができます。

3GPP TS 26.071規定している規定しているAMRのビットレート

12.20 kbit/s (GSM EFR)
10.20 kbit/s
 7.95 kbit/s
 7.40 kbit/s (IS-641)
 6.70 kbit/s (PDC-EFR)
 5.90 kbit/s
 5.15 kbit/s
 4.75 kbit/s
 1.80 kbit/s (SID mode)

3GPP TS 26.171 で規定している規定しているAMR-WBのビットレート

23.85 kbit/s
23.05 kbit/s
19.85 kbit/s
18.25 kbit/s
15.85 kbit/s
14.25 kbit/s
12.65 kbit/s
 8.85 kbit/s
 6.60 kbit/s
 1.75 kbit/s (SID mode)

LINE, Skypeの音質

IT Proが実施したLine、Skype、comm の音質測定結果を引用します。

モバイル網ではなく、無線APをインターネットへ光回線で接続し、スマホ(Galaxy S)を無線LANで接続して測定した結果です。

回数 Skype LINE comm
R値 MOS値 R値 MOS値 R値 MOS値
平均値 80.6 4.057 72.7 3.743 48.9 2.544
中央値 80.5 4.06 72.5 3.735 51.5 2.68


この測定結果では、Line、Skypeは、家電の音声品質基準(0AB-J基準)よりは、低いものの携帯電話の音声品質基準内のレベルですが、commは、最低グレードIP電話クラスCの品質を若干下回っています。

インターネット経由は品質劣化

commだけ品質が悪いの原因は、測定環境にあります。

P2PタイプのSkype と Line は、上記の測定環境では、2台のスマホが無線AP折り返し直接通信(ローカル通信)するのに対して、commは無線LANから光回線でインターネットへ抜けて、commのサーバーで折り返してインターネット経由で通信します。

IT Proの測定結果では、SkypeやLineも着信までの不安定さ(着信時間が長かったり、着信できなかったり)が指摘されています。

これは、LineとSkypeも、呼制御だけは、無線AP折り返しのローカルな直接通信ではなく、インターネットを経由したサーバーを介した通信となるためです。

Line Skypeもモバイル網では品質劣化

LTEなどのモバイル網では、無線AP折り返し直接ローカル通信通話することは稀です。

LineもSkypeも光回線でのインターネット折り返し通信をしたcommのような状況になると思われます。

安定性でもVoLTEにアドバンテージ

Line、Skype、commなどは、一般のインターネットトラフィックにと一緒に、優先されることなく、伝送されます。

このため、通話品質は、ネットワーク輻輳状況の変動に大きく影響さます。

IT Pro同じような測定をしたTech-ONの測定結果でも、音声遅延時間は音声データが通る経路と回線の状態によって、大きく変わると総括しています。

一方、VoLTEのトラフィックは、一般データ通信とは別のAPNを使った低遅延ルートで、最優先で送られます。

品質だけでなく、輻輳に影響されにくい安定性でも、VoLTEは優位です。


総務省の定める音声品質基準

Speech-Quality-standards.png
クラスAが0AB-J基準
クラスBが携帯電話基準
クラスCはR値が50以上

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