光給電の実用化

光ファイバーで、送電もデータ送受も行う監視カメラの製品化を、古河電工が発表しました。製品化は、世界初だそうです。

レーザー光を光ファイバで送り、光給電コンバータがレーザー光を光電変換した電力で監視カメラを駆動し、カメラからの画像を光ファイバーで送り返します。

画像データ送信用の波長に、送電用の波長(1.48μm)と異なる波長を使えば、送電と通信を1本の光ファイバーで実現可能だそうです。

基地局への光給電

ELECTRICAL_POWER_OVER_FIBER_OPTICS.png

携帯電話基地局への光給電は、まだ製品化されていませんが、研究は行われています。

基地局に光給電するメリットは、敷設・運用コストを抑制です。

  • 送電線やバッテリなどの外部電源が基地局側に不要
  • 停電時緊急電源設備が基地局側に不要
  • 無誘導な光ケーブルだけでの接続なので避雷対策ヶ所も削減

しかし、監視カメラのようなミリワット級ではなく、基地局が必要とする大きな電力を給電する場合は、光ファイバ回路部品の光パワー耐性が低いことから、光ファイバヒューズ現象、破断などの課題が残っています。

アンテナ側の設備を、光ファイバ無線伝送(RoF : Radio over Fiber)により局側に巻き取って、アンテナ側設備の省電力化することにより、光給電による基地局の実現が試みられています。

RoF : Radio over Fiber
Radio_over_Fiber.png

RoFは商用化され、各社が使用しています。

ビル内に基地局(親局)を設置し、無線信号を光信号に変換し、光ファイバで無線信号を各フロアに設置した多数のアンテナ(子局)に伝送するシステム(右図)や、トンネルや地下街でのアンテナ間中継用など、様々なところでRoFが利用されています。

レーザー光を無線信号で強度変調して伝送するまで伝送することにより、アンテナ側の設備を簡素化できるので、設置スペースも、電力消費も少なくて済みます。

光ファイバー給電の限界

レーザ光送電は、パワー変換効率が30%程度あるので、出力数Wのレーザーを使えば、 1W 近い電力を供給することも可能になります。

しかし、これ以上にレーザー出力を上げても、前述の光ファイバ回路部品の光パワー耐性や、光ファイバヒューズ現象、破断などの課題があり、大電力給電はできません。

コア径を大きくしたファイバーを使うなどのいくつかのアプローチがありますが、現在2ワット程度が限界のようです。

光ファイバーヒューズ

数ワット級のの光が入力されている光ファイバーで、曲げ、切断、加熱などの何らかのきっかけが与えられると、コアのガラス部分が加熱により高温のプラズマ状態になって溶融し、溶融が光源側に向かって伝搬していく現象です。

溶融した区間には空孔ができ、溶融区間全体がが使えなくってしまいます。

光ファイバーヒューズ現象が発生するきっかけは、コネクタに付着した異物や局所微小曲げ等の様々な要因による光ファイバーが局所的に加熱です。

きっかけとなる要因があっても、入力されているレーザー光が、光パワーしきい値以下であれば、光ファイバーヒューズ現象は発生しません。

しきい値は、個々のファイバーの特性により異なりますが、SMFの場合、おおよそ4Wから6Wです。

6Wを35%の効率で変換すると約2W。これが光給電のひとつの壁です。

光給電コンバータを単体として出荷している例をみると、変換効率は30%程度あります。。

光給電コンバータKPC8-T
レーザー光(1300~1600nm)を変換効率は34%で電力に変え最大3V、20mAを出力

光給電コンバータDJ0A-9026-A
レーザー光(1480nm、出力300mW)を変換効率27%で電力に変え、3V、15mA出力

このように、太陽電池による光電変換効率が20%程度が一般的であるのに比較しても高効率ですので、変換効率の改善による光給電能力の1桁アップは、変換効率が100%を超えられないので、無理です。

古河電工の光送電システムの主なスペック

  • 光給電コンバータ出力電圧DC 5.0V
  • 光給電コンバータ出力電流15mA以下
  • 監視カメラ消費電力75mW以下
  • 送電可能距離10Km(ロス3dB、最大出力800mWの光源モジュール使用時)
  • 使用する光ファイバSMF
  • 光コネクタSCコネクタ/SPC研磨相当
  • 送電用レーザー光出力: 800mW以上(一定出力制御)
  • 送電用レーザー光中心波長:1.48μm帯

光給電による監視システムの利点は、金属を使わずに送電できることに起因します。

  • 電気的に完全に絶縁されている
    (防爆対策が必要なプラント内の監視などに最適)
  • 送電に伴うに電磁雑音や電波の発生が無い
    (電波の発生が問題となる生産現場や病院などに最適)
  • 金属の高電界下などの特殊環境でもEMIの影響を受けない
    (電磁干渉が厳しい環境下での給電に適している)

監視カメラの省電力化

光給電での多地点監視

監視カメラの低消費電力化も進んでおり、5mW程度の光パワーで動作し、30万画素の静止 画を伝送可能なカメラへの1対多の光ファイバー給電実験(右図)もあります。

1つの光源モジュールからのレーザー光を光分配機で分配し、10台のカメラに給電したそうです。

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