iPhone 6 plusの曲げ試験

iPhone 6 Plusが曲がることが話題になっており、Apple曲がることは稀とコメントしています。

test-iPhone6plus.png

Appleの社内試験も公開されています。

Appleの公開している試験は、3点支持で25Kgの力で曲げる試験や、人間が座った状態を想定しての圧壊試験などです。

スマホの圧壊や曲げ試験の基準はありませんが、スマホに内蔵されているリチウムイオン電池の安全基準はあります。

リチウムイオン電池の安全基準と比べると、Appleの社内試験は軽めの試験になっています。

圧壊試験

13±1 kN (1.3トン超)の力で、 2 枚の平板間に入れて押しつぶす圧壊試験をJIS C8714「携帯電子機器用リチウムイオン蓄電池の単電池及び組電池の安全性試験」が規定しています。

13±1 kN の力で、高さで 10 %の変形または、電圧の 3 分の 1まで急激な電圧降下するまでの押しつぶしを行い、単電池が正極端子と負極端子との短絡によって,発火又は破裂を引き起こさない。

角形単電池に,その縦軸の周りに 90°回転して同様の試験を施し,電池の長側面及び短側面の双方が加圧力を受けるようにする。

という基準です。

1.3トンは、自動車による踏み潰しを想定しての基準です。

人間が座った状態を想定して平らな方向だけ試験しているAppleの基準よりだいぶ厳しい試験です。

落下試験

JIS C8712 「密閉形小形二次電池の安全性」では落下試験を規定しています。

完全充電した単電池又は組電池を,高さ 1.0 m の地点から任意の方向でコンクリートの床に 3回落下させても(例えば,作業台の上から落下),発火又は破裂を引き起こさない

という基準です。

前述のJIS C8714にも落下試験の規定があります。

1000±10 mmからコンクリートの床へ最も悪影響を与えると判断される落下方向へ落下させても、内部において外部短絡を生じな い,かつ,組電池内の単電池において内部短絡を生じない(C 6950-1の規定する手持形機器の場合や、JIS C 6065 で規定する7 kg 以下の可搬形機器の場合)。

という基準です。

Appleは落下試験を公開していません。

曲げるな危険

iPhone 6 Plusが曲がれば電池も曲がります。

被害者の不注意により、被害者の使用中に外的応力がバッテリーに加えられたため、熱暴走を生じて異常発熱した例が、MITIの事故報告「リチウムイオン蓄電池の事故発生状況」に記載されています。

この事故は、取扱説明書に「携帯電話に無理な力が掛かるような場所に置かない。」、「多くの物がつまった荷物の中に入れたり、衣類のポケットに入れて座ると、液晶画面、内部基板などの破損、故障の原因となる。」旨を記載しているため、メーカーの責任は問われませんでした。

Appleの取説にも、「落としたり、ぶつけたり、曲げたり、変形させたり、したりしないでください。」と書いてあります。

曲がった電池の充電も危険

充電池本体が変形しているのに気付いていながら充電したため、発熱して出火した例が、東京消防庁の注意喚起に記載されています。

リチウムイオン電池の熱暴走

リチウムイオン電池は、熱暴走し、異常発熱や破裂することもあります。

ANAの787が2013年1月に発煙し高松空港に緊急着陸原因は、リチウムイオン電池の原因不明の内部短絡による「熱暴走」でした。

熱暴走の原因は、内部短絡、外部短絡、過充電、バッテリマネージメントユニットの発熱、などがあります。

iPhoneを曲げると、外部短絡やバッテリマネージメントユニットの破損などが起きる可能性がある気がします。

内部短絡

内部短絡の原因は、

  • アルミ箔などに含まれる不純物の亜鉛などの析出による短絡、
  • 分離膜に鉄粉などの混入した異物が発熱して正・負電極の接触による短絡、
  • リチウム金属負極を用いた電池を充電する際にデンドライト状のリチウム金属が析出し分離膜を突き破って正極と短絡する

などがあります。

分離膜

分離膜の基本機能は、電池内で正極活物質と負極活物質との間に介在し、内部短絡を防止することと、電解液を保持することです。

分離膜に使用するポリオレフィン(ポリプロピレンPP、ポリエチレンPE)は、100ミクロン以下の薄さですし、PEは摂氏130度程度で溶解してしまいます。

薄いのはイオン透過性をよくするため。

融点を高くしないのは、電池に過大の電流が流れたとき、その発熱により微多孔性セパレータ膜の空孔が閉鎖され、電流を遮断する機能を持たせるためです。

融点が135~140℃程度のPEの軟化で空孔閉鎖による電流遮断をし、160℃程度と高めの融点のを持つPPで空孔の無くなった分離膜の構造を維持する多層構造の分離膜もあります。

iPhoneを曲げて、電池が変形すると分離膜が機能を失う可能性がある気がします。


曲げに強いリチウムイオン電池

リチウムイオン電池の電解質は一般には液体です。

  • 電界質に全個体ポリマーを使用したフレキシブルシート電池
  • ゲルタイプ電解質を使用したフレキシブルシート電池、

など曲げに強いリチウムイオン電池もあります。

  • 硫化物ガラスセラミック電解質を用いた全固体リチウム電池
  • プラスチッククリスタル高分子電解質

などの固体電解質もあります。

電池等の安全基準

  • UL 1642  Lithium Batteries
  • IEC 62133 リチウムイオン電池の安全基準
  • JIS C8714 「携帯電子機器用リチウムイオン蓄電池の単電池及び組電池の安全性試験」
  • JIS C5016 「フレキシブルプリント配線板試験方法」
    耐折性の試験方法を規定しており、「張力4.9Nで毎分170回折り曲げ、試料が破断するまで回数を測定する。」となっています。
  • 日本電池工業会の注意喚起

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