超長寿命電池

ほとんど劣化しない二次電池をカリフォルニア大学アーバイン校が発表しています。

20万回充放電を繰り返して5%しか劣化しない電池構造だそうですので、毎日充放電しても500年くらい使える計算になります。

超長寿命電池の構造

超長寿命電池の詳細は、American Chemical Society's Energy Lettersにも掲載されています。

PMMAに入れた金ナノワイヤー電池

金ナノワイヤを酸化マンガンでコーティングした電極を、アクリル樹脂状の電解質(ポリメタクリル酸メチル樹脂、PMMA:Polymethyl methacrylate)に入れた構造の電池で、20万サイクルで劣化5%を達成したとのこと。

1本5 mm の長さの金ナノワイヤー375本を、リソグラフによりガラス基板の上に作成し、PMMAで覆っています(上の写真)。

ナノワイヤの長所・短所
au-nano-wire(PMMA).png

ナノワイヤは、体積に対しての表面積比率が著しく高いので、電解質との接触面が多くなり、イオンの導入と離脱の反応が進みやすくなり、充放電レートが向上します。

このため、急速充電が容易になる、低温時の放電容量低下が軽減される、などのメリットがあります。

しかし、ナノワイヤは細いために、腐食による劣化に弱く、寿命が短い欠点がありました。

カリフォルニアの大学の電池は、金を酸化マンガンで覆い、電解質にPMMAを使うことにより、腐食を防いでいます。

ナノワイヤー製造

今回カリフォルニア大学は、ガラス基板上にリソグラフで5㎜の長さの金ナノワイヤーを作りました。

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、空気電池用電極用のマンガン酸化物ナノワイをウイルスを使って作る技術を発表しています。
遺伝子操作したM13ウイルスが水中の金属分子を取り込み、太さ80nm程度のマンガン酸化物ナノワイヤを作製したそうです。
(空気電池は、リチウムを負極、空気中の酸素を正極活物質 に利用した二次電池)

実験用として1gで10万円程度で市販されている金ナノワイヤーは、数十ミクロンから数百ミクロンの長さの粉のような代物です。短い金属ナノワイヤーで不織布作ったりします。

各種長寿命電池
(高サイクル特性をもつ電池)

MITとSumsungの全固体リチウムイオン電池は、数十万サイクルの寿命を持つそうです。電解質に固体材料(リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄の化合物)を使うそうです。

スタンフォード大学のアルミニウム電池は、7500サイクルの充放電をしても、容量劣化が無いそうです。7500回でも1日1回の充電なら20年持ちます。

カリフォルニアの大学の金ナノワイヤ電池は、20万サイクルで容量劣化5%ですので、これらと比べても長寿命です。
毎日1回充放電して500年使っても、新品の95%の容量を保っていられることになります。

電池を長持ちさせる使い方

電池容量の劣化特性

使わない(電池があまり減らない)のに充電を頻繁にすると、容量劣化が早いという試験結果をドコモが発表しています。

右のグラフは、各種条件でリチウムイオン電池を1年間使用した後の電池容量のグラフです。

左側は通話時間が短い(あまり電池を消費しない)場合です。

黄色の丸は、12時間毎に、充電した場合です。1年間で約700サイクル充放電します。

黄色の丸を右と左で比較すると、12時間毎に4分間通話/使用した場合(左側の黄色の丸)は容量が200mhAに減りますが、120分する通話/使用した場合(右側の黄色の丸)は容量は500mhAほど残っています。

たくさん使った(放電)したほうが容量劣化が少なくなっています。

充電間隔(頻度)が24時間の場合も、48時間の場合も、96時間の場合も、同じ充電間隔なら、通話時間が短い/電池を使っていないほうが、電池容量が減っています。

リチウムイオン電池の寿命(容量劣化)

電池容量と充放電サイクル数の関係

現在のLiイオン電池は、1000回ほど充放電を繰り返すと容量が減り(容量劣化)寿命が尽きます。

ドコモが発表した試験結果(右グラフ)をみると、600回程度から急速に容量劣化が始まりで出力電圧と充放電サイクルの関係、800回程度で容量が半分くらいになります。

容量が減るだけでなく、充放電を繰り返すと、出力電圧の低下が短時間で起こるようになります。

800サイクル使用すると15分で出力電圧が3Vを下回ってしまします。

毎日1回充放電していると約2年3か月弱でで800回です。

容量劣化は、充放電の繰り返しによる劣化(サイクル劣化)だけでなく、充電したままの保存でも劣化(保存劣化)します。

保存劣化(充電状態で保存しておく際の劣化)

充電完了から放電開始までの保存期間が長いほど劣化します。

熱による劣化

保存劣化は、熱によって加速されます。

満充電のリチウムイオン電池を45℃で保存すると、6ヶ月間の保管で容量が4割減ってしまうこともあるそうです。

真夏の車のダッシュボードは80度程度まで温度があがりますので、放置しておくと急速に劣化します。

容量劣化の原因

サイクル劣化や、保存劣化の原因は様々ですが、一般的に言われいる原因には以下のような原因があります。

  • 電解質の分解により、電気化学的に活性のある有効リチウムが減少する
  • 電極間に溜まったガスにより電極間の距離が一定でなくなる
  • 負極材料として使用されている炭素の分子構造が徐々に変化する
  • スピネル型マンガン酸リチウム電池は、電解質中にマンガンが溶出する

最近のブログ記事

SORACOM,HLR持ちeSIM対応
SORACOMが自前のHLRを持ち、自…
準天頂衛星4機体制に
h2{ font-size:12…
Windows 10 mobile終了
Windows 10 mobileの新機…
カスタム検索

月別 アーカイブ