デュアルレンズ・スマホ

Huawei P9 PlusのDual Lens

Huawei P9 Plusが、リアカメラにレンズを2つ搭載して登場しました。

RGBWセンサーを一歩進めて、輝度測定用の光学系を1つ設けるためにリアカメラをデュアルレンズ化しています。

デュアルレンズの使い方

Huawei P9 Plus Dual Lens.png

リアカメラの2レンズのうち、
1つのレンズはRGBカラーセンサー用のレンズでRGBの色情報を測定します。
もう1つのレンズは、カラーフィルター無しの白黒CMOS用のレンズで輝度測定用です。

色情報と輝度情報を別々のCMOSで測定し、デジタル処理により画像を完成させます。

RGB成分の平均として輝度を求めるより、輝度専用CMOSで測定したほうが、輝度暗い部分から明るい部分までダイナミックレンジの広い撮影が可能になります。

色の測定と輝度の測定を別立てにすることによって、一定のクリッピング境界内の画像を作るとき、画像プロセッサの能力に余力も生まれます。

輝度を独立に測定する方式

輝度を独立に測定するアイデアは、、「色フィルターのないピクセルを設ける(having no color filter or having a color filter without wavelength-selectivity)」という内容を含む2005年の特許に遡れます。

KodakのRGBW CFA センサーの前に色フィルターの無いピクセルを設け具体的な方法は、2007年にKodakが発表したRGBW Color Filter Array(右)が、たぶん最初です。

RGBWカラーフィルター

今では、KokakのRGBWアレーの他にも、様々なRGBWパターンが提示されています(左)。

このように、輝度情報を独立したハードウェアで検知することは、デュアルレンズを使わなくても、RGBWフィルタにより実現可能です。

RGBWセンサはソニーが2012年に発表しています。

Huaweiも、P9 の1世代前のP8 でRGBWを採用しています。

P9 Plusのようにセンサー自体を2つにして白(輝度)センサーを分離するメリットは、いずれのRGBWパターンより多くの光を受けることができることです。

iPhoneのカメラとの比較

Huawei P9 Plusと、iPhone 6s以降のカメラと比較すると、輝度を検出専用の光学系がある点が有利ですが、薄くした分不利にもなっており、ハード仕様は優劣つけがたい状況です。

どちらも、F2.2の明るいレンズや、裏面照射CMOS(BSI-CMOS)を使い、明るさにこだわったカメラになっています。

画質はソフトウエア(画像処理エンジン)次第です。

■ DSLR(Digital single-lens reflex camera)レベルのISP搭載

Huawei P9 PlusのSoCは、8core CPU(4x 2.5GHz Cortex-A72、4x 1.8GHz Cortex-A53)を搭載したKirin 955 RGBです。

Kirn 955には、2コアのISP:Image Signal Processor(画像処理エンジン)があります。Huaweiは、このISPをDSLRレベル(デジタル一眼レフカメラレベル)だと言っていますの、ソフトウエア処理には自信があるようです。

iPhoneのカメラスペック
  iPhone 5siPhone 6iPhone 6
Plus
iPhone 6siPhone 6s
Plus
iPhone SE
焦点
距離
29mm相当 (画角約73度)
デジタルズーム(ピンチ)約6倍
レンズ経1.87mm、実焦点距離4.15mm
明るさF2.2
解像度800万画素1200万画素
センサ
サイズ
1/2.9型
裏面照射CMOS
手振れ補正デジタル補正光学式手ぶれ補正デジタル補正光学式手ぶれ補正デジタル補正
ISO
感度
 32-2500  32-2000 25-2000


iPhone 6s とHuawei P9 Plusのカメラの差

上記スペックに現れない以下ような差があります。

■ 薄くしたので画素が小さくなる

Huawei P9は、iPhone 6s / Plusより薄いうえに、レンズの出っ張りもありません。そのため、レンズの実焦点距離が短くなります。

Huawei P9 Plusは、レンズから近い距離に小さい像を作りそれをセンサーで検知することにないます。像が小さいので、画素数が同じなら1ピクセルのサイズが小さくなります。

CMOSサイズは不明ながら、1画素サイズはiPhone 6s Plusが1.5μmなのに対してHuawei P9 Plusは1.25μmです。センサーの感度やS/Nが同じなら、画素サイズの小さいHuawei P9 Plusがやや不利になっています。

■ 光量不足は輝度検出系で補完

レンズの実焦点距離が短く、有効口径も小さくなり、受け取る光の量が少なくなってしまいますが、Huawei P9 Plusには、レンズがもう一つあり、レンズが受け取る光の量は2倍になります。

画質は、2つのセンサーで検知した色情報と輝度情報を、ソフトウェアでどう処理するか次第です。

光の単位

  • 光束: 光源から単位時間当たり放射される光の総量。単位はルーメンlm
  • 光量: 光束を時間で積算した量。単位はルーメン秒[lm・s]
  • 照度: 光が入射する面に入射する単位面積当りの光束。照らされている面の明るさ。
    単位はルクスlx
    遠ざかるほど暗くなる(照度は光源からの距離の2乗に反比例する)
  • 光度: 光源からその方向にに向かう光の強さ。
    微小な立体角 ステラジアン [ sr ] 当りの光束 [ lm ] が光度
    単位は、 lm/sr になるが、カンデラcdと表記する
  • 輝度: その方向に向かう光度を面積で割った値。単位はcd/m2
    点光源なら光度が求められる、面光源や複数光源の場合は、光度が求められないので、面積当たりの通過光束を輝度で表す。
    光度同様に距離に比例して減少しない

スマホと高級コンパクトデジカメの比較

開放F値2.2のレンズがついているコンパクトデジカメは、数万円以上の高級コンパクトデジカメだけです。エントリークラスの一眼レフと一緒にレンズセットとして販売されているレンズにも、F2.2の明るさのあるレンズはみかけません。

スマホのほうがレンズ口径が小さく、レンズが受け取る全光量は少なくないます。

しかし、、実焦点距離が短く、レンズとセンサー距離が近いので、センサー面での照度は、解放F値が同じなら、レンズ径にかかわらず同じです。暗いプロジェクタでも、スクリーンを近くに置けば明るさが確保できるのと同じです。

高級コンパクトデジカメのスペック

センササイズと
画素数
レンズ ISO感度等等
iPhone 6s
1/3 BSI-CMOS
12M PX
広角28㎜
28㎜でF2.2
ISO 25-2000
FUJIFILM XQ2 2/3型
X-Trans -CMOS
12M PX
25-100mm
F1.8-F4.9
ISO100-12800
Canon
G9 X
1型
BSI-CMOS
20.9M PX
28-84mm
F2.0-F4.9
やや暗いレンズ
ISO125-12800
起動1.4秒
Canon
PowerShot
G7 X
1型
BSI-CMOS
20.2M PX
24-100mm
F1.8-F2.8
>望遠側も明るい
DIGIC6
約304g
103.0×60.4×40.4mm
Canon
PowerShot
G7X MarkII
1型
BSI-CMOS
20.1M PX
24-100mm
F1.8-F2.8
望遠側も明るい
DIGIC 7
サイズ大きめ
105.5×60.9×42.2mm
約319g
SONY
RX100M
1型 CMOS
BSIでない

20.2M PX
28-100mm
F1.8-4.9
望遠側暗い
ISO80-25600
起動約2.1秒
光学3.6倍,デジタル3.6倍
RX100M2 1型
BSI-CMOS
20.2M PX
28-100mm
F1.8-4.9
望遠側が暗い
ISO100-25600
バウンス撮影可能な
フラッシュ
SONY
RX100M3
1型
BSI-CMOS
20.1M PX
24-70mm
F1.8-F2.8
広角側70の割に暗い
ISO80-25600
101.6x58.1x41.0 mm


スマホのセンサーサイズは、高級コンデジに負けています。

薄いスマホは、薄いため、大きな像を結べるほどセンサーとレンズを離して配置できません。

大型センサーが利用できるのは、カメラの利点です。

大型センサーの価値

ぼかし

大きなセンサーのほうが、被写界深度を浅くして、背景をぼかした写真を撮りやすくなります。

小さなセンサーでもデジタル処理で背景をぼかす事は可能です。フォーカスの異なる写真を高速連写しボケを作り出す「ぼかしコントロール」画像処理をする機種もあります。

高解像度

センサーサイズが大きいと、画素数を増やすことが容易です。

小さなセンサーでも、センサーの感度やS/N比などの性能を向上させれば、画素数を増やすことは可能です。iPhone 6sは、1/3型の小型センサーで1200万画素を実現しています。P9 Plusも12Mピクセルを確保しています。

高感度

センサーが大きいと、1ピクセルのサイズを大きくできます。大きなピクセルで受光量を増やせば、感度やS/Nの向上し、ダイナミックレンジも広がります。

iPhone 6s Plusは、12MPを1/2.9型BSI-CMOSに収めているので、ピクセルサイズは1.5μmになります。P9 plusのピクセルサイズは、1.25μmです。

一方、SONYのDSC-RX100M3は、20.9M画素ですが1.0型 (13.2mm x 8.8mm)センサーなので、ピクセルサイズは2.4μmになっています。スマホの2倍近いサイズです。

■ 高感度センサーでも高感度化可能

小さなピクセルでも、感度やS/Nなどの特性の良いセンサーなら、高感度化可能です。

CMOSより一段明るくなるといわれている高感度のBSI-CMOSを、iPhone やP9は採用しています。

■ 実焦点を短くしても高感度化が可能

センサー面での照度を上げれば、センサーが小さくてもセンサーの感度不足を補えます。

スマホのように、センサーとレンズを近接してレイアウトすると、センサー面の照度が上がります。

スマホのレンズは、実焦点距離が短く、有効口径が小さくなりますが、レンズとセンサーの距離が近いので、センサー面での照度があがります。

プロジェクタとスクリーンが近いほうが、明るくなるのと同じです。

レンズの有効口径は、RX100M3だと約4.8㎜で解放F値1.8と明るいのですが、iPhone 6s Plusの有効口径は約1.9㎜、P9 Plusは約1.8㎜となり、RX100M3の半分以下の有効口径になっていますが、レンズの解放F値が、一段劣るようなことはなく、解放F値2.2で踏みとどまっています。

大口径レンズを持つカメラでも、解放F値2.2はより明るいレンズは少数です。

低ノイズ

画素数を変えずにセンサーを小さくすると、ピクセルサイズが小さくなり、S/Nが低下しますので、大きなセンサーは、低ノイズ化も容易です。

■ デジタル処理でもノイズ除去可能

小さなセンサーでも、デジタル処理によるノイズ除去も可能です。、

■ ISO感度を下げて、高感度化も可能

ISO感度を低くして低ノイズ化することも可能です。iPhoneは、ISO感度を下げて、ISO25での撮影も可能です。デジカメで、ISO100を下回る低ISO感度で撮影できる機種は稀です。

ISO25に対応するiPhoneは、1/3型の小型センサーですが、明るい場所では、低ISOで低ノイズ画像が撮影できます。

総合力

センサーが大きいと、発熱、消費電力、コストが大きくなる傾向があり不利です。

カメラならサイズ制限がスマホほど厳しくないので、電池の大型化や、発熱対策がスマホより容易です。

大型センサーを搭載している機種のほうが、高価になるので、優れたレンズや画像処理エンジンを搭載できるコスト的な余力も生まれます。

明るすぎる時に使えるNDフィルタがあるとか、フラッシュを傾けてバウンス撮影できるといったプラスアルファも期待できます。

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