MVNOの高速化限界

MVNO のデータ通信回線の太さを、MVNOの収入とMNOとの接続料金から推計してみました。

MVNOの回線の太さは、MNOの回線の70%程度で収支限界に達していると推計できます。

MVNOのARPU推計値は、1770円

MM総研の調査によると、「MVNOの平均利用料金は音声通話対応2,072円、音声通話非対応1,552円」

MMD総研の調査によると、「データ通信専用SIM」が58%、「音声通話機能付きSIM」42%です。

2072円×42%+1552円+58%=1770円

ARPU推計値は、1770円になります。

ドコモのARPU、4100円より4割以上低くなっています。

音声通話関連費用は、月額558円/契約

MVNOがドコモへの支払う音声通話料金は、1契約あたり月額558円になります。

MM総研の調査によるとMVNOユーザの音声通話時間(LINE電話、Face Time、Skypeなどのデータ通信を利用したIP電話サービスは含まない)は、5.9分/1週間です。

1か月だと23.6分になります。

MVNOがドコモへ支払う音声通話料金は、30秒当たり20円で、2001回線以上は割引率30%になるので、1分あたり28円。

通話料として支払う額は、23.6分×28円 =660円/月

この他に、音声基本料が1ユーザあたり月額1486円×最大55%割引=668円がかります。

合計で月額1328円/音声契約者 になります。

MMD総研の調査によると、音声契約の比率は42%なので、1328円を全契約平均にすると、月額558円になります。

データ通信用としてドコモに支払える額は1112円/契約

音声通話の有無に関係なく、1契約者あたり月額101円の基本料金をドコモが徴収します。

この101円と、音声通話関連料金558円を、1770円のARPUから引くと、残りは月額1,112円です

これ以上の金額を、データ通信量回線料金としてドコモへ払うと、自社の運営経費を賄うことができない、赤字に確定です。

1770円の他に端末代金やオプションサービスの料金の収入がありますので、この赤字の補てんは可能です。

1契約者あたりの回線は14Kbpsが上限

ドコモとの接続料は月額78万円/10Mbps
粗利額
(1契約当たり)
粗利率 太さ
¥0 0% 14.1 Kbs/契約者
¥89 5% 13.4 Kbs/契約者
¥177 10% 12.7 Kbs/契約者
¥266 15% 12.0 Kbs/契約者
¥354 20% 11.3 Kbs/契約者
¥443 25% 10.6 Kbs/契約者
¥531 30%   9.9 Kbs/契約者
¥620 35%   9.0 Kbs/契約者

MVNOとドコモを接続するデータ通信用回線の料金としてMVNOがドコモに支払う金額は、10Mbps当たり785,509です。

10Mbps ÷ (785,509円÷1112円) = 14.1Kbps

1契約あたり14Kbpsが、MVNOが調達できる接続回線の太さの上限です。

MVNOが、自社の運営に必要な粗利が増えるほど、調達可能なデータ通信用回線の太さは細くなっていきます(右の表)。

粗利を10%確保すると、ドコモのデータ回線の太さの70%以下になります。

ドコモ契約者は、17.7Kbpsを利用

ドコモの1契約者が使うデータ通信用回線の太さは、17.7Kbpsになります。

ドコモの全契約者が使用しているデータ通信用回線の総帯域は、1214.6Gbps(総務省の資料による2015年9月現在の値)

ドコモの契約者数は、2015年9月現在、68,493,600。

1214.6Gbps÷68,493,600=17.7Kbps

利用量が17.7Kbpsですので、実際に用意している回線の太さは、17.7Kbps以上になります。

17.7Kbpsだとしても、、MVNOが調達できる上限14Kbpsに比べ25%以上太い帯域です。

とはいえ、ドコモの回線が、全てのMVNOより25%太いわけではありません。ARPUも、通話分数も、音声契約者の割合も、MVNO毎に異なりますので、データ回線の太さも個々のMVNO毎に千差万別だと思われます。

数字自体も、調査会社が行ったサンプル調査に基づいた推計値を元にして、MVNO事業の概観を把握するために推計した値ですので、個々のMVNOの実態には当てはまりません。


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