準天頂衛星4機体制に

「みちびき4号機」の打ち上げが成功です(内閣府発表)。

準天頂衛星システム:QZSSが準天頂衛星(QZS衛星)4機体制になります。

4機体制になると

準天頂衛星の配置

4機体制になると、4機のうち3機を常時日本から見ることができます。

1機のQZS衛星は、東京から見て、仰角70度以上に8時間、仰角50度以上に12時間、仰角20度以上に16時間留まります。

3機の周回を8時間づつずらすと、仰角20度以上で2機を常時捕捉することができます。内1機は仰角70度以上です。

赤道上の静止軌道にいる1機(みちびき3号機)とあわせて、常時3機を仰角20度以上で捉えることができます。

1機が静止軌道にある理由

準天頂軌道ではなく、静止軌道に3号機がある理由は、測位精度の向上です。

地上からみて衛星の位置がばらついていたほうが、DOP:Dilution of Precision(測位精度劣化係数)が小さくなり、測位精度が向上します。

そのため、高仰角の準天頂軌道ではなく、静止軌道に3号機が配置されています。

中高度軌道を飛ぶGPSからの信号もDOP低減に有効

地球の自転周期と無関係の中高度軌道を飛び、地上から見て常に位置が大きく変動するぶGPS衛星からの情報と組み合わせて、DOPを小さくし、測位精度を向上させることができます。

これらのQZS衛星の他に、中高度軌道を飛ぶGPS衛星が6機以上みえるので、GPSとQZSSで補完して小さいDOPで高精度の測位が可能です。

現在QZSSやGPS、GLONASSなどの測位衛星の現在位置は、GNSSサイトで見ることができます。

静止軌道の3号機はSBASにも活用

今後、静止軌道衛星にある「みちびき3号機」を使って、航空機などに対して測位衛星の誤差補正情報や不具合情報を提供する「SBAS(衛星航法補強システム)」信号の配信サービス提供も予定されています。

7機体制で高仰角捕捉が最終目標

2024年3月末までに、さらに3機を打ち上げ7機体制にする計画です。

7機体制になると、準天頂軌道の衛星2機を東京から見て70度以上の仰角で、常時2機みることができます。仰角50度以上なら3機、20度以上なら4機見ることができます。

東京から70度以上で2機が目標ではなく、日本とその近傍で衛星が仰角60度以上で複数のQZS衛星が見えることが目標です。

仰角が高いため、山間部や都心部の高層ビルの谷間などでもQZS衛星が捕捉しやすくなります。

これらの準天頂軌道上の衛星の他に赤道上の静止軌道にある1機も見ることができます。

みちびきが無いと

東京から見えるGPS衛星とGNSS衛星の例

GPS測位には3機以上の衛星が捕捉できる必要があります。

東京からGPS衛星とQZS衛星が何個捕捉可能かをGNSSサイトで見てみると、右の図のように、3機のGPS衛星(青い丸)を捕捉するためには、仰角を40度まで下げる必要があるタイミングもあります。

街中で仰角40度以上の視界を遮る建物が無く、広い空が見える場所を見つけないと、測位できません。

スマホの場合は、衛星からの電波の他に、基地局からの電波も測位に使うA-GPSなので、捕捉できる衛星の数が少なくても測位可能です。

今は、「みちびき4号機」が運用前なので、GNSS衛星が1機(ピンクの丸)しか見えていませんが、仰角70度以上にGNSSが常時2機見える7機体制になれば、GPSとあわせて、仰角60度以上で3機が捕捉でき、測位可能になります。

準天頂軌道

順天頂軌道

QZS1,2,4号機衛星が軌準天頂軌道を飛んでいます。

準天頂軌道 とは以下のような軌道で、地上に8の字を描き、日本上空のに長く滞在する軌道になります。

  • 赤道に対して39~47度傾いた傾斜静止軌道衛星
    • 高度は、約32000~40000km
    • 軌道周期が地球の自転とほぼ同じ23時間56分
  • 離心率の大きい楕円軌道
  • 衛星が地球から一番離れる位置である遠地点が日本付近の上空

「みちびき」は沈まない

東京から見たQZS衛星の動き

右の図は、東京から見た地上から見たQZS衛星「みちびき」の動きです。

準天頂軌道にあるQZS衛星は、水平線に沈むことなく周回しています。

8の字を描きながら飛んでおり、地平線より下に沈むことはありません。



GPSとQZSS(準天頂衛星システム)の互換性

GPSとQZSSは、ほぼ同じ周波数を使っています。


各国の測位システム(GNSS)と周波数

使用周波数だけでなく、航法メッセージやコードも同じなので、QZSSは、他の測位システム(GNSS)と比べて、GPSとの互換性高くなっています。

周波数
MHz
波長
m
信号名 測距コードと
拡散方式
航法メッセージ みちびき 現GPS
IIR以前
GPS
近代化
Block IIR-M
GPS
近代化
Block
IIF
次世代GPS
GPS-III
L1 1575.42 0.19 L1-C/A GPSのC/AのPRN符号
と同一の符号系列
拡 散 方 式  B PSK(1)
GPSと同一のデータ構造、
ビットレート、符号化方式
航法メッセージも同様
L1C GPSのL1C信号のPRN符号
と同一の符号系列
拡散方
式はBOC(1,1)
L1CDは、GPSと同一のデータ構造、ビットレート、符号化方式
航法メッセージも同様
L1CPは、GPSのオーバーレイ符号と同一の符号系列で変調
- - -
L2 1227.6 0.24 L2C
GPSのL2C
のPRN符号
と同一の
符号系列
拡散方式
BPSK(1)
GPSと同一のデータ構造、
ビットレート、符号化方式を持
ち、航法メッセージの同様
L2C(CL)はデータレス
-
L5 1176.45 0.25 L5 GPSのL5のPRN符号と同一の符号系列
拡散
方式BPSK(10)
Iチャネルは、GPSと同一のデータ構造、
ビットレート、符号化方式を持ち、航法メッセージも
Qチャネルはデータレス
- -

なお、GPSのL2信号は、P(Y)コードが暗号化されているので、アメリカ軍とアメリカ政府から認可されている軍事関係機関以外では、完全には測位コードを利用できない状態です。

準天頂衛星システム:QZSSの性能目標

  • SIS精度:全ての信号で「2.6m(95%)以下」 (RMS誤差1.3m)
      SIS:Signal In User Range Errorは、衛星軌道予報誤差と時刻予報誤差に起因する測位誤差
     RMS誤差(Root Mean Square Error 平均平方二乗誤差)、真値との差を評価する指標です
  • 平均電離層誤差は、「7.0m(95%)以下」(RMS誤差3.5m)
  • UTC精度:「40ns(95%)以下」(RMS誤差20ns)
    QZSS時刻とUTC(NICT)とのモジュロ1秒の時刻オフセットを示すパラメータ

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